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近代科学を切開する

   

元素変換研究の現在~現象はほぼ確認され、本格的な応用はこれから

「元素変換」(かつては「常温核融合」と呼ばれた)の始まりは1989年3月。米ユタ大学で、2人の研究者が化学反応では説明できない「過剰熱」を観測したと発表し、世界的に脚光を浴びた。日の目を見ていない理由として大きいのは、主要研究機関が否定的な姿勢をとったこと。ユタ大学での報告を受け、各国で一斉に追試が行われたものの、米欧の主要研究機関は1989年末までに否定的な見解を発表した。日本でも経済産業省が立ち上げた検証プロジェクトの報告書で、1993年に「過剰熱を実証できない」との見解を示した。
しかし、可能性を信じる一部の研究者たちは、その後も研究を継続。再現に成功する例が見られるようになってきた。

※常温核融合の場合、ほとんどの研究者が現象を再現出来なかったことが、「常温核融合は“非科学”」という誤った常識の始まりだった。実際には「実験条件が悪くて現象を起こせなかった」「測定条件が悪くて現象が起こっていても気づなかった」可能性があるにもかかわらず、たいがいの科学者は「初めからこのような現象は起こらなかった」と頭から否定した。こういった態度こそ“非科学”に他ならない。

そして現在、「元素変換」の研究は、現象がほぼ確認され、本格的な応用はこれからという段階で、サイエンスレベルからテクノロジーレベルに入りつつある段階まで来ている。とはいえ、現状の技術ですぐさま実用化できるというレベルではなく、実用化のためにはまだまだ多くの課題を解決していく必要がある。

東北大学・凝縮系核反応共同研究部門の岩村特任教授は、三菱重工業で元素変換の研究に携わり、放射性廃棄物を無害化する技術として、「新元素変換」という名称で地道に研究に取り組み、選択的な元素変換に成功するなど、世界的な成果を挙げてきた。

岩村氏らがこれまでに確認している元素変換反応は、
・セシウム(Cs)→プラセオジム(Pr)
・バリウム(Ba)→サマリウム(Sm)
・ストロンチウム(Sr)→モリブデン(Mo)
・カルシウム(Ca)→チタン(Ti)
・タングステン(W)→プラチナ(Pt)

これらの生成物は、磁石や触媒といった先端技術に使用されるものが多く、日本がそのほとんどを輸入に頼っている元素ばかりが並ぶ。もちろん、現状での生成量はマイクログラムといったレベルであり、経済的に成り立つ状態にまで開発をレベルアップする必要があるが、日本で産出しない高価なレアメタルが、比較的価格の低い元素からの変換によって生成できることは注目に値する。

また、放射性廃棄物の無害な元素への変換の実現化も注目される。
元素変換技術には、現在のところ確立した理論は存在しない、しかしこれまでの確固たる経験則がある。すでに、天然に存在するセシウムやストロンチウムなどの安定核種で確認できている元素では、放射性核種(同位体)においても元素変換反応が起きることが十分に期待出来る。

参考:吉田克己 著『元素変換 現代版〈錬金術〉のふフロンティア』(書評 リンク 参照)




斎藤幸雄
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