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近代科学を切開する

   

ホワイトサンズUFO搭乗事件その6(ダニエル・フライ)

確か君達の間には「自衛本能こそ自然の基本的法則である」という諺があったはずだ。知識欲が時には動物本能に打ち勝つ事もあるというのを見る事が出来たのは頼もしい事だ。君に警告を与えたとき、君の反応は自分で思うかもしれないような恐怖という物ではなかった。純粋な恐怖の反応なら少なくとも一瞬間君のからだが凍りついて動けなくなるはずだ。だが君は直ぐに、しかも適当な態度で行動した。君が躊躇ったという事実は、船体の詳細に関する注意力の集中が極めて大きかった為に、はっきりした退却路を確保しなかった事を示すにすぎない。
 ここで私の話を信じてくれというのではない。それは我々にとって最も好ましくない事だ。今必要なのは証拠を(あらゆる既成概念に反するような証拠であっても)受け入れるだけの受容的な精神の持主と、その証拠を即座に吸収して筋道の通った結論に達するような精神の持主なのだ。体験した為に君が全く特殊な立場にあるにも関わらず、君が静かに私の声を聞いて筋道の立った回答をしているという事実は、君の精神が我々の見つけようとしている種類の精神であるという最上の証拠なのだ」
 「お世辞をありがとう」と私は言った。「そのお世辞に価する人間なら良いのだがしかし君の言葉は地球人の科学的進歩を促す何かの計画に僕を利用しようとしている事を仄めかしていた。何故僕を選んだのかね? 君が着陸した場所にまったく偶然に僕が居合わせたというだけの事じゃないか。この基地には科学的知識で僕よりも遥かに進歩した人が沢山居るから、その中の誰にでも簡単にコンタクトさせられるんだけどね」
 「君は全くの偶然でここに居合わせたと言うが、それは我々を酷く過小評価した言い草だ。多くの地球人の脳は容易に送信出来るが、君は受信も出来るごく少数の脳の持主の一人なのだ。自分の宿舎へ帰って調べてみれば、今夜冷房装置が故障していなかった事が分かるはずだ。だが話を元に戻そう。我々は君の国の多くの一流科学者の精神を調べてみたんだ。大抵の場合、我々は科学者達の精神が既成概念という鋳型で固められている事を知った。彼らは遠くまで進みすぎている。その結果、遠い道のりを後戻りしなければならない。
私の言う意味を比喩によってもっと易しく言ってみよう。科学知識を求める人間は木に登るアリのような物だ。自分では上方へ動いている事が分かっていても、その視野は狭すぎて幹全体を見通せない。その為に幹を離れている事に気づかないで下方の枝の方へ移動するかもしれない。一時は万事上手く行く。自分ではまだ上方へ登れるし、進歩という果実を少し摘み取る事も出来る。だがその枝が急に無数の小枝に分かれて色々な方向に葉が散らばっている為に本人はまごつき始める。同様に、知識の探求者は常に確固たる物であった"基本的法則"が今や分かれ始めて反対の方向にちらばり始めている事に気づく。すると科学者は心によって受け入れられる知識の限界に近づいている事や、あらゆる物理的な法則は究極的には全く統計的な物になるという結論に達する。これは地下鉄の列車に乗って行くような物だ。多分最後には目的地へ着くだろうが、何処へ行くのかが分からない為に、同じ場所へ着くのにもっと短くて容易な方法がある事を確かめる事が出来ない。
君達の科学は今このような立場にある。例えば地球の科学者は電子が粒子で波動性の二重性を持つ物と定義せざるを得ない状態にある。彼らは電子は確率波を持つ粒子だと言う事によってこれを正当化させようとしている。これは心によって描く事の出来ない状態であり、その為進歩の唯一の方法として抽象的な数学という地下道を通る事になる。
 正しく眺めれば基本的な真理は常に簡単で理解が容易である。だから幹の上から眺めれば枝は、"枝"として簡単な理解の容易な物になるのだ。手っ取り早く言えば、君らの科学が進歩し続けようとする場合に必要なのは、君達がとまっている枝から幹との分岐点まで降りて、再び登り始める事だ。これをやろうとするのなら我々が援助してやれるが、ただし君達が援助を望んで我々が示す道に従う事ができればだ。

だがこれは未来の事だ。我々が地球人を援助する前に二つの事が達成されねばならない。第一に、我々の肉体が地球の環境に生物学的に順応するようになる事、そうすれば地球人の中に入り込んでも間違えられなくなる。これには前にも言ったように少なくとも四年はかかるだろう(注。これは別な太陽系から来た宇宙人である為に、我々の太陽系の各惑星の住民とは肉体の条件が異なるのである。アダムスキーの体験記類に出てくる宇宙人と混同しない事)。第二の条件はもっと厳しい。地球の各国間に存在する政治的緊張が和らげられねばならない。地球の二大国が互いに相手に対して決定的な科学的優勢力を持つようになれば、当然絶滅の戦争が起こるだろう。我々は戦争を起こす国を助ける為に来るのではなく、戦争を起こす動機を無くすようなある程度の進歩を促す為に来るのだ。我々も数千年昔自分達の戦争の動機を無くしたのだ。だが、君は砂の中に立って科学や社会のあり方に関する話を聞くのに草臥れてきたらしい。 
 それで私の方が持て成し役だという事を思い出したよ。船体の中へ入って少し飛んでみないかね? これは遠隔操縦の輸送機なのだが、単調ながらも全く快適な二、三人用のイスの付いた小さな乗員室もあるんだ」
「船体の中を見せてもらえれば大変嬉しいんだが」と私は答えて「しかも乗せて貰えるとすれば有り難い。しかしどうやって入れば良いのかね。船体の周囲を一周したが、入口らしい物が見当たらないんだ。しかも君は地球の大気に慣れていないと言ったじゃないか。僕が中へ入れば身体と一緒に空気を持ち込む事になるはずだ。これは君に何かの影響を与えるんじゃないかね」
 「前にも言ったように、この宇宙船は遠隔操縦の貨物輸送機なんだ。私はこの宇宙船内に居るのではなく、君が、"母船"と呼ぶかもしれない司令船内にいるんだ。それは今地球表面から九百マイルの位置にある。この貨物輸送機は地球の大気の見本を採集するのに使用される。それで我々は自分の身体をそれに慣らす事ができるんだ。貨物船倉をからにすると取入口を開くと共に船倉は空気で満たされる。また空気中の細菌も研究や抗毒素の製造用に空気といっしょに取り入れられる。取入口は船体の頂上にある。さあそれを開く事にしよう」



千田祐介
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