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近代科学を切開する

   

ホワイトサンズUFO搭乗事件その4(ダニエル・フライ)

「船体に触らない方が良いよ。まだ熱いから!」この声が突然あたりの静けさを破るまで自分が緊張し切っていたことに気付かなかった私は、数フィート飛び退いて、低い草むらの中に飛び込み、砂の中に全身を伸ばして腹ばいになった。

くすくすと笑うような声を聞いたが、その声は少し穏やかな調子でまたも流れてきた。「落ち着きなさい。君は友達なのだ」

 私の不恰好な姿勢の恥ずかしさと、その声の穏やかな調子と親しみのある言葉などで、それまでの恐怖心はすっかり無くなって、少々腹が立ってきた。起き上がって服を手ではたき、頭髪の中に入り込んでいた草を力任せに引き抜いた。

 「もっと小さな声で言ってくれてもよさそうなものだ。そんな調子で俺を吹き飛ばす必要は無いじゃないか。腰を抜かしたぜ」と私は不平を言った。

 「吹き飛ばす?」と声がためらうように言って「ああそうか、君は警告の声が大きすぎたと言うんだな。すまん、仲良しクン。だが君はあやうく死ぬところだったんだよ。ゆっくりコントロールしている暇が無かったんだ」

「船体が酷く放射能を帯びているというのかね?そうだとすれば、僕はまだかなり近寄り過ぎていることになるよ」と尋ねた。

「放射能を帯びては居ない。私が熱いという言葉を用いたのは君たちの言葉で状態を説明するのにこれ以上うまい言葉が見当たらないからだ。船体はあらゆる物質に反発するフィールドを帯びている。このフィールドは分子間の距離では非常に強力だがその距離の七乗に逆比例して弱くなるから、船体表面から数ミクロンのところでは問題とはならない。

君は表面が酷く滑らかですべすべしているのに気付いただろう。これは君のてのひらが実際には金属には触れていないで、フィールドの反発力によって表面からほんのわずか離れていたためだ。我々は船体が着陸時にきずつけられないようにこの保護フィールドを用いている。また、これは大気圏内を高速で飛ぶ必要がある時に、空気の摩擦を極端に減らすことにもなるんだ」と声が答える。

 「しかしどうやってこれが僕を殺すことになるんだ。僕は船体に触れて。てのひらが少しびりびりするのを感じただけだが、僕の言葉について洒落たことを答えたのはどういう意味なんだい? 君がヤンキーで無かったら僕は耳を傾けなかったところだ」

 「君の最初の質問だが」と声は落ち着いて答えて「直ぐに君を殺すという意味ではないんだ。実際は数ヶ月かかるだろう。だがそれは直ぐにというのと同じくらいに確かなことなんだ。最もうまく説明すると、このフォースフィールドに人間の皮膚を晒すと、血液中にいわゆる、抗毒素が生じる。

我々にもまだ良く分からない理由によって、この抗毒素が肝臓に吸収されて、その為に肝臓が凄く肥大し充血する。皮膚が一分間かそれ以上もフィールドに晒された場合は確実に死ぬ。君の場合は大変な危険になるほどには晒されなかったと思う。ただし君はいずれ何かの影響を確実に感じるだろう。

勿論君の身体の生理的機能が我々の身体と同じだと考えてのことだ。我々の身体も君の身体も同じだと信ずべき理由が色々あるんだがね。

 君の二番目の質問に付いては、私はいわゆるヤンキーではない。もっとも私の現在の割り当て仕事によってヤンキーになる必要はあるんだがね。君が私をアメリカ人の一人だとみたことは、英語を覚えるために過去二年間費やしてきた努力の甲斐があった印だ。実際のところ私はまだ君の惑星に足を着けてないんだ。地球の大気や重力に順応して生活になれるには少なくとももう四年はかかるだろう」

 長時間のような気がしたが、恐らく数秒間だろう、この言葉の(完全な意味を理解しようとして私は黙って立っていた。遂にゆっくりと発言した。「ぼくが自分の目でこの物体がやってきて着陸するのを、見なかったとしたら、君は沢山の空想科学小説を読んだバカだと僕は言ったかもしれないぜ。

だが、実際は見たんだから殆ど全ての可能性を認めようとしているんだ。おまけに僕がここにいたことと君の着陸を見たことは全くの偶然なんだから、僕が信じようと信じまいと君には何の関係もないことは明らかだ」

「とんでもない」と声が答えた。続く。



千田祐介
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