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近代科学を切開する

   

ホワイトサンズUFO搭乗事件その2(ダニエル・フライ)

1950年7月4日、ホワイトサンズ実験場にて

 今夜私は空飛ぶ円盤の信者の列に加わった。その一つを見たばかりでなく、それに触れて中へ入り、そして乗ったのである。また私は、自分の感覚器官をまだ信頼し得るとすれば、かなりの時間にわたってその操作者たちと会話を交わしたのである。
 
 今や円盤は去ってしまい、私は自分の宿舎へ帰ったので、一体ほんとうに起こったのだろうかと次第に信じがたくなってくるような気がする。ホワイトサンズ実験場にはありとあらゆる科学者が集まっているのに、単なる偶然にせよ計画にせよ、一技術者にすぎない私がなぜ選ばれて、本物の宇宙船に乗った現代地球の最初の人間になったのだろう? 

 こんな出来事は到底ありそうにもない事なので、自分の正気を疑わずにはいられないほどである。当然のことながら、私が今夜円盤に乗ったことを他人に納得させようとすれば、もよりの精神病院のすてきな独房の中に入れられるだろう。だがこれは私の人生中の最大の出来事である。そこでまだ記憶になまなましく残っているあいだにこの出来事を正確に記しておきたいと思う。

 今日は7月4日独立記念日なので、私はラスクルーセスの花火大会を見に行って、自分だけのささやかな祝いをするつもりでいた。ところがバスの時間を聞き違えたために町行きの最後のバスに乗り遅れて、ほとんどだれもいない軍の宿舎の中で地団太をふんだあげく、自室で坐って読書する以外に仕方のない羽目におちいったのである。

 夕方の七時半頃に冷房装置のブロウアーが止まってしまった。これは数日ごとに起こることで、しかも気温が特別高いときにそうなるのだ。

 八時半までには室内が耐え難いほど蒸し暑くなたので、外へ出れば涼しかろうと思って散歩することにきめた。オーガン山脈のふもと付近にある発射台のそばを通ってエルパソまで続いている背後の道路へ出た。この道は南方へ60マイルほど延びている。しかし発射台の所へ着くまでに私は右折して小さなきたない道へ入り、射撃場を抜けてオーガン山脈の麓の平原の方へ歩いて行った。

 この道をたどりながら射撃場を通り抜けて半マイルほど行ったとき、初めて物体を見たのである。太陽はすでに沈んで暗くなっていたが、空は星々で輝き、まだ地平線上に現れていないつきが夜空にかなりの光を散らせている。山々の峰の上に静止している特に明るい星の一群を見上げたとき、そのなかの一個が急に消えてしまった。

もちろん私はその場ですぐに目をとめた。 星は消えるものではないからだ。最初私は飛んでいる飛行機がその光をさえぎったのかと思ったが、そう考えても納得がゆかなかった。飛んでいる飛行機は一点を横切るのに一秒とかからないのに、消えた星は現れないのだ。

また、夜の実験場の静寂のなかにいれば、飛行機の場合、肉眼で見える範囲よりも遠方から爆音が聞こえるものだが、音は全然聞こえない。その夜観測気球は打ち上げられないし、打ち上げられたとしても急速に上昇する。だから星をさえぎるにしても数秒間だけだろう。すると右手の別な星が消えてしまい、さらに数秒後にはその真下の二個の星が消滅した。

この時までには背筋がビリビリするような感じが起こっていた。星々を消してしまった物が何であるにせよ、それは急速にはっきりとした大きさとなり、しかも空の同じ位置に見えるところから、その物体が真っ直ぐに私の方へやってくる事は疑いなかった。

 やがて私にはそれが見えてきて、同時にもっと早く見えなかった理由がわかった。その物体の色は夜空の暗黒と同じようにどす黒いために、すぐ近くまで来ても輪郭以外に識別することが困難だったのだ。それはなおもこちらへやって来る。逃げ出そうという気持が強く起こったが、爆発やロケット関係の仕事に豊富な経験をもつ私は、進路を確かめるまでは接近するミサイルから逃げ出すのは愚かなことを知っていた。逃げ出せることもある一方、飛び込むこともあるからだ。それに逃げながらその進路を判断することなどできるものではない。

 物体は真近に迫って来たので、その長軸の径が約30フィートの卵型の球体であることがわかった。時速15ないし20マイルほどで進行して来る。地上に着く頃は速度がゼロになると思われるような割合で減速しているらしい。

また、進路を変えない限り少なくとも私から50フィートは逸れることもわかった。そのスピードの遅いことにやや安心した私は元の位置にとどまって、物体がそよ風に乗ってただようアザミの冠毛みたいに軽く滑空して来て、全然バウンドしないで70フィート彼方に着陸するのを見つめていた。

物体の下敷きになったヤブがめりめりと音を立てた以外、物体は無音のままである。二、三十秒間、私は子どもが初めてサーカスの演技を見るようにそれを見つめていた。続く。



千田祐介
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