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近代科学を切開する

   

ギリシャ科学、その1

本田さん、早速の考察ありがとうございます。

>>1.近代科学は、なぜ他の宗教ではなくキリスト教から生まれたのか。キリスト教の影響のない地域での科学はどうなっているのか。逆にギリシャ哲学(科学)との関連はどうなっているのか。<<(msg4416)

>ギリシャ哲学とキリスト教と近代科学の関係について考えてみたいと思います。<

>近代科学に及ぼしたキリスト教とギリシャ哲学の影響の共通点を考えると、両者ともまず先に『完成された秩序』を措定することから思惟が始まることではないかと思います。例えばギリシャ哲学では『秩序と調和を持った全体=コスモス』の存在を前提に、キリスト教では『神が創りたもうた世界=真理としての法則』を前提に思惟がはじまります。<
>つまり、『既に存在する真理を捉える』と言う思考過程が両者の特徴だと思います。<

本田さん、ずばりと指摘されましたね。私も直感的にはそうかとも思いますが、もう少し背景をはっきりさせた方がよいかと思いますので、少し歴史を紐解いてみます。本田さんも指摘されているように、近代科学については、中世キリスト教との関連にだけに注目しているように思われます。さらに起源を遡って押さえる必要があるでしょう。私は特にギリシャ科学を中心に押さえてみます。

その前に、近代科学以前の古典科学の流れを概略的に押さえておきます。(いったん、レヴィストロースが未開部族に見出した「具体の科学」や中国・日本などの非西洋科学をここでは除きます)なお資料として、『哲学・思想事典』(岩波新書)、『科学論入門』(佐々木力:岩波新書)、などを参考にしています。

「(古典)ギリシャ科学→アラビア科学(イスラム科学)→中世ラテン科学(12世紀ルネッサンスから)→17世紀の科学革命(第一の科学革命)以降の近世科学→18世紀の科学革命(第二の科学革命)以降の近代科学」

(注1)第一・第二と分けない科学史もありますが、17世紀と18世紀では、村上陽一郎も『聖俗革命』として、神との関わりについての違いを強調しておりますので、ここでは分けておきます。
(注2)ギリシャ科学をルネッサンスまで含めて、つまり、紀元前6世紀から15世紀まで含めてギリシャ語による科学の総称とする場合もありますが、ここではギリシャ科学とは古典ギリシャ科学をさすことにします。

ギリシャ科学の意義は、イオニアでの思弁的科学、ヘレニズム時代の(理論と実際との一致を目指す)実証科学への手がかり、応用科学への発展というところにあります。特に徹底して納得できる根拠を求める思考習慣は理論的形態の数学を生み出し、西洋的「合理主義」(ひいてはロゴス中心主義)の源流となっていると思います。数学の鍵となる概念は論証(ないしは証明)であり、幾何学を中心に発達しましたが、その応用としての天文学が、算術の応用として音階学が発達しました。このように、学問としてはこの理論数学(ここでは広く科学に入れておきます。この数学がギリシャ科学の発展の原点となっているからです)と、経験的自然学とそれを基礎とした医学という二つの構成要素から成り立っているようです。

*「理論数学とは、議論の出発点としてまず諸原理(定義、公理)を置き、そこから探求中の命題が真であることを論証してゆくような形態の数学をいう。」(佐々木力)ということですから、その意味では本田さんの言われる「既に存在する真理」を前提として、思考する方法であると言えるでしょうね。



吉国幹雄
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