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近代科学を切開する

   

グーグルの画像認識AIは、専門家にも見えない腫瘍の変異を識別できる:研究結果

グーグルの画像認識AIは、専門家にも見えない腫瘍の変異を識別できる:研究結果
リンク
より転載。

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グーグルの画像認識アルゴリズムを応用することで、主要な2種類の肺がんを97パーセントの精度で判別できるようになったという研究結果が発表された。しかも、人間の病理学者では困難だった腫瘍の遺伝子変異まで識別できるようになったという。この結果から見えてきたのは、病理学者が人工知能(AI)と協働する未来だ。

2000年代初頭にわたしが高校生だったころ、地方の病院でひとりの病理学者につきまとって夏休みの1週間を過ごしていた。地下にあるオフィスは基本的に毎日同じ様子だった。

彼は体の組織を載せたスライドに顕微鏡で焦点を合わせながら、数分間にわたって覗きこみ、細胞の形、大きさ、周囲の状態について几帳面にノートに書きこんだ。十分なデータが得られると、電話をかけたものだった。「扁平上皮がんです」「鋸歯状腺がんです」「良性です」

ここ数十年のあいだ、医師たちは患者にがんの診断を下す際、十分に訓練された人間の病理学者の目に頼ってきた。いまでは、この非常に時間のかかる診断をわずか数秒で行うために、研究者たちは機械に学習をさせている。

『Nature Medicine』に9月17日付で発表された新たな研究によると、ニューヨーク大学(NYU)の研究者らがグーグルの既存のディープラーニングアルゴリズムを再訓練したところ、主要な2種類の肺がんを97パーセントの精度で判別できるようになったという。この種の人工知能(AI)は、画像中の顔、動物、物体などグーグルのオンラインサーヴィスにアップロードされたものを識別するのと同じ技術を用いており、以前から糖尿病性の失明や心臓病などを含む疾患の診断に優れていることが示されていた。

だが、NYUのニューラルネットワークは、これまで病理学者が為し得なかった方法を学習した。たった1枚の画像から、各腫瘍内に遺伝子変異が大量発生しているか否かを識別するのだ。

グーグルのアルゴリズムを応用

これを実現させるためにシリゴスの研究チームは、まずグーグルが1,000種類の物体を識別するために訓練した「Inception v3」というオープンソースアルゴリズムを用いた。がん組織と健康な組織の画像を判別できるよう訓練するために、がんゲノムアトラス(TCGA)が公開する患者の組織サンプルから、何十万枚ものがん組織の画像をアルゴリズムに見せた。

Inceptionががん細胞を99パーセントの精度で識別できるようになったら、次のステップは腺がんと扁平上皮がんの2種類の肺がんの区別を学習させることだった。この2種類はともに最も多い肺がんのひとつで、毎年15万人以上がこのがんで亡くなっている。顕微鏡で見るといらだつほど似ているが、まったく治療法が異なる。正しく治療できるか否かが、患者の生死にかかわるのだ。

NYU病院のがん患者から採取した独自のサンプルでInceptionをテストすると、精度は若干下がった。しかし大幅に下がるわけではなく、88~97パーセントの正確性を維持した。

シリゴスに言わせれば、これは驚くことではない。NYU病院のサンプルは、より多くのノイズ(炎症、壊死組織、白血球など)を含んでおり、TCGAの凍結サンプルとは別の手順で作成されることもしばしばあったからだ。精度を向上させるには、病理学者がこのようなノイズの多い、別の手順でつくったサンプルに注釈をつければいい。そうすれば、アルゴリズムにこれらの要素を選択することも学習させられる。

しかし、これらの組織スライドに遺伝子変異が起きているか「見る」ようInceptionに学習させた方法は、人間の手助けにはならなかった。トリックを使ったように、アルゴリズムが自己完結的に学習してしまうからだ。

機械と病理学者が協働する未来

しかしそれこそが、シリゴスと研究チームが計画していることなのだ。今後数カ月、研究者らはより多様な情報源からのデータでAIプログラムの訓練を続ける。その後、米食品医薬品局(FDA)の認可を得られるよう、会社の立ち上げを検討しはじめるだろう。

コストと時間の問題から、腫瘍サンプルのシークエンシングは常に標準的な医療行為として行われるわけではない。腫瘍サンプルのデジタル写真を送るだけで、生存可能な治療の選択肢が即座に得られることを想像してみてほしい。これがこの研究が向かっている先なのだ。

病理学者がコンピューターとともに働く未来を指し示している。「この論文が本当に示唆しているのは、画像中には人間が引き出せるよりもずっと大量の情報があるということなのです」

これは単なるデジタル病理学を超えたテーマだ。グーグルをはじめとする各社は、オープンソースコードとして入手可能な最先端のアルゴリズムを作成しており、研究者たちは独自に、比較的容易にAIプロジェクトを始めることができる。少しカスタマイズするだけで、これらのニューラルネットは腫瘍の画像にとどまらず、山のような生物医学の画像データを自由に活用する準備が整うのだ。

シリゴスに、「がん分類器」を訓練するためにボランティアをしてくれる仲間の病理学者を見つけるのに苦労していないかと尋ねた。シリゴスは笑った。シリゴスは、最初NYUの誰に対しても、このプロジェクトへの参加を依頼するのにはためらいがあったという。何といっても、将来の競争相手をつくる手助けをすることになるわけだからだ。

しかし結局、協力者を探すのは簡単であることが判明した。みなInceptionが何をできるか興味津々だったのだ。肺がんだけではなく、病理学者たちが抱えているプロジェクトについてもだ。

彼らは機械に取って代わられることを恐れてはいないとシリゴスは言う。機械は単純な問題に対応するため、病理学者らはより深い問題に取り組めることにわくわくしている。物体認識を機械に任せたとしても、人間にしかできない医療は十分に残されているのだ。

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古越拓哉
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「一生幸せになる機械」に脳を繋ぎたいか

脳に繋ぐことで、思い通りの夢をみられる機械がある。ただし一度セットすれば二度と外せない。あなたは機械をセットするだろうか。こうした「幸福」と「幸福感」の違いを考えるのが「哲学」という学問だ。哲学者の岡本裕一朗氏がビジネスパーソン向けに行った講座から一部を紹介しよう――。(第1回、全3回)

※本稿は、岡本裕一朗『答えのない世界に立ち向かう哲学講座』(早川書房)の第1講「哲学とは何か、現代の視点から見定める」を再編集したものです。


※写真はイメージです(写真=iStock.com/RichVintage)

ネコの視界と人間の視界は違う

男性と女性ではものの見方が違う、とよくいわれます。男性には素敵に見える車でも、女性には品のない趣味と映るかもしれない。さらにいえば、人間に見えているものが本当の世界なのかどうかも、実は怪しい。

たとえば、ネコの視界は人間とは相当違うそうです。視野は200度で人間より広い一方、6メートル先ぐらいまでしかはっきり見えず、赤色を知覚することもできないといいます。しかしこれも、ネコにはこう見えているであろうと、人間の目を通して類推したものですからね。ネコの見え方を真に理解することは難しい。あるいは、聞こえるものも当然違います。

では、人間とネコ、どちらが「本当の世界」を認識しているのでしょうか。

はたまた、次のような場面を想像してみてください(デカルト『省察』に出てくる話のアレンジです)。円筒形の建物が遠くに見える。近くまで歩いていくと、六角柱の建物だった。遠くから見ると美人・イケメンでも、近づいてみると……というのは、よくあることです。デカルトはここから、「感覚は欺くことがある」という教訓を引き出します。あなたはデカルトに賛成ですか?

現実と見え方の違い、幸福と幸福感の違い

ここで考えていただきたいのは、「見えているものと本物」という対比は果たして正しいのか、ということです。「見えたものは円柱だったが、本当は六角柱だった」という対比、これ自体が間違っている可能性はないでしょうか。

六角形が本当だという理由は何もありません。ルーペで見れば、六角柱ではなくなるわけです。どの地点から見るか、という相違にすぎないのではないか――実はデカルトは、こういう考え方も導入しています。最終的に、すべては見え方の違いだ、と。

こうなると困ってしまうのは、何が本当なのかということです。たとえば同じ額の収入を得ていても、幸福だと思う人もいれば、不幸だと思う人もいます。幸福と幸福感は同じなのか、違うのか。たとえば、年収1億円を稼いでいても、ああ、不幸だなと思う人もいるかもしれません。逆に年収100万円であっても、幸せだなと思う人もいるでしょう。

重要なことは、幸福がなんであるかではなく、幸福感が得られるかどうかです。幸福感というのはあくまでもその人の気分や気持ちなので、脳の状態によってつくり出すことができる、と最近の脳科学者はいうでしょう。
望み通りの夢を見せてくれる機械につながれたいか?

そうした幸福感をつくり出す機械が実現できたとしましょう。自分が望むどんな経験も与えてくれる機械につながれたあなたは、どんな夢も見ることができる。思い通りの人生がこのなかで展開される。ただし、一度セットしたら取り外しは不可能です。

あなたはどうしますか?

これはロバート・ノージックが考案した「経験機械」という思考実験です。

こう問われると「いやいや、それはちょっとイヤだ」という方が多いかもしれませんが、何十名もの人と一緒につながれるならどうでしょうか?


『答えのない世界に立ち向かう哲学講座――AI・バイオサイエンス・資本主義の未来』(岡本裕一朗著・早川書房刊)

意味は少し違いますが、ハイデガーの言葉を使えば、経験には各自性があります。つまり、経験とはあくまでも「私にとって○○と思われる」ということですので、自分の思いと現実というのは区別できないんです。このように私には見える、1キロメートル先のものはこのように見える、もっと近づくとこう見える……というように、私が思うこと以外にこの現実はありえない。そうなると、自分の思いとは別に「本当の」現実があるという考え方は揺らいでしまいます。

実際、最近の科学技術として、人間の思いと現実が融合しあうようなテクノロジーが出てきましたよね。VR(仮想現実)とか、AR(拡張現実)だとか。こうした技術を用いると、各人の思いがある意味そのまま現実化するわけです。そのなかで、私たちの思いと現実という概念そのものも、もしかしたら崩れ始める可能性があるかもしれません。

ここまで見てきたように、自分の考えや感覚の「正しさ」を疑ってかかることこそ、哲学の基本といえます。では、こうした姿勢をもってして、哲学はこれまで何をしてきたのか、そしてこれから何ができるのか。次に、それを考えてみましょう。

哲学の役割とは?

ホワイトヘッドという哲学者がこういいました。

「西洋のすべての哲学は、プラトン哲学への脚注にすぎない」

哲学者は、プラトンがすでに議論した問題を、形を変えて取り扱っているだけじゃないかというわけです。これを聞くとギリシア哲学をやっている人は泣いて喜びますが、実はそのバリエーションこそが重要な問題です。カントは次のように述べています。

「哲学を学ぶことはできない。哲学することだけを学ぶことができる」

この哲学講座もそうです。学説や知識をここでお話ししたいとは思っていません。冒頭で申しあげたように、むしろ、自分自身の知性を使って哲学することを学んでいただけたらと思っています。誰かの説を鵜呑みにするのではなく、「自分だったらどう考えるか」を、さまざまな視点から考えてみていただきたいのです。

リンクより




森浩平

犬の筋ジストロフィーで遺伝子治療が成功、次は人間の番になる?

犬の筋ジストロフィーで遺伝子治療が成功、次は人間の番になる?
リンク
より転載。

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ゲノム編集技術の「CRISPR」を利用して、犬の筋ジストロフィーを治療することに英米の研究チームが成功した。この技術を人間にも適用する可能性が期待されているが、まだ課題が残っているのだという。

10年ほど前の話になるが、英国で奇妙な遺伝形質をもったスパニエル種の犬の血統が見つかった。雄の子犬に限って、1歳になる前にさまざまな謎の病気を発症するのだ。子犬たちは体が弱く、自分の舌で窒息してしまうことがよくあった。 

研究により明らかになった原因は、X染色体のジストロフィン遺伝子異常だった。ロンドンの王立獣医大学(RVC)の研究グループは、子犬たちが筋肉細胞を構成するジストロフィンと呼ばれるタンパク質の生成に関わる遺伝子が欠損する遺伝性疾患をもっていること発見した。つまり、人間の子供と同じデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を発症していたのだ。

研究者たちはこの血統の犬をビーグル犬と掛け合わせて繁殖させ、DMDの研究を行ってきた。そしてついに、RVCとテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの合同チームが犬の遺伝子治療に成功した。

科学誌『Science』に発表された論文によると、同センターのエリック・オルセン率いるチームは「CRISPR」と呼ばれるゲノム編集技術を使って、DMDを発症している4匹のビーグル犬の遺伝子を修復した。CRISPRでは標的となるDNAの2本鎖を切断し、ゲノム配列の任意の場所を別の配列に入れ替える。

ジストロフィン発現に関係する遺伝子はゲノム配列のなかでも特に大きく、同じ病気を引き起こす可能性のある突然変異の種類も多いため、筋ジストロフィーの遺伝子治療にCRISPRを使うことは難しいとされる。しかし、オルセンはエクソン51の欠失を正確に狙う方法を発見した。DMDの原因のうち、エクソン51は約13パーセントを占める。

回復した子犬たち

オルソンは過去にマウスおよびヒトの心筋細胞で遺伝子の修正に成功している。RVCと協力した今回の研究では、筋細胞に感染しすい無害なウイルスにCRISPRの分子成分を運ぶような改変を施し、これを被験体となる生後4カ月のビーグル犬4匹に注射した。2匹は後肢への筋肉注射、残りの2匹は静脈注射を受けている。

8週間後、静脈注射の2匹のジストロフィン値は脚部で50パーセント、心臓部で90パーセント以上も改善した。なお、人間の筋ジストロフィー患者の場合、ジストロフィン値が15パーセント上昇すると症状は劇的によくなる。オルソンは「このレベルには間違いなく到達していたと言えます」と話している。

大型哺乳類の筋ジストロフィー治療にCRISPRが用いられたのは、今回が初めてだ。治療にあたってはアナフィラキシーや肝障害、免疫系の暴走といった最悪の事態が起こることも想定していたが、こういった反応は観察されなかった。そして、子犬たちは再び走り回れようになったのだ。

オルソンはサンプル数が少ないため論文には明記しなかったと前置きした上で、「子犬たちの行動にも明らかな変化が見られました。走り回ったりジャンプしたり、素晴らしい回復を見せたのです」と説明する。

生物医学の研究開発(R&D)においてNPO組織の重要性が増していることを示すデータがあり、特に従来型のモデルではプロジェクト初期段階の資金調達が難しいような場合に、この傾向が顕著だという。

医療研究における資金の流れを調査する「Research!America」のリポートによると、米国における医療・健康分野のR&D投資は年間1,000億ドル(約11兆3,000億円)に達している。このうち、慈善団体が支払った額は2016年には27億ドル(約3,050億円)に上り、地方政府などと合わせて全体の3.4パーセントを占めた。

CureDuchenneを率いるデブラ・ミラーはベンチャーフィランソロピーについて、「いずれは業界標準になると思います。寄付を本当に有効に活用しようとすれば、これしか方法がないからです」と話す。これまでの契約や保有株の売却などで13億ドル(約1,469億円)を手にしており、Exonicsを含むDMD治療の開発プロジェクトへの出資を続けている。

ミラーはCRISPRを用いたDMD治療に特化したスタートアップなら、大手企業より治験などを早く進められるだろうと考えている。遺伝子治療分野ではエディタス・メディシンやCrispr Therapeuticsといった企業がDMDへの適用の可能性を探っているが、いずれも研究段階で実用化には至っていない。治療に必要な分子成分を運ぶウイルスを、人間の全身の筋組織に行き渡るのに十分なだけ作り出すには、信じられないような費用がかかるからだ。

課題は山積み

Exonicsもいつかはこの問題に直面するだろうが、近い将来というわけではない。CRISPRを人間の筋ジストロフィー患者に試すためにクリアすべき課題は山積みだ。まずは今回の実験の長期的な経過を観察することが必要で、オルソンはこれについては、2019年中に完了するとの見方を示している。

この種の失敗が生じれば、研究そのものが10年も20年も後退してしまう可能性がある。遺伝子治療の世界で90年代後半に起きたのはまさにこうした事態だった。だからこそ、オルセンをはじめとする研究者たちは患者に対し、あまり楽観的にはならないでほしいと伝えるようにしている。

ただ、ゲノム編集とベンチャーフィランソロピーという組み合わせにより、さまざまな希少疾患の治療の研究がかつてない速さで進んでいることに変わりはない。

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古越拓哉

犬の筋ジストロフィーで遺伝子治療が成功、次は人間の番になる?

犬の筋ジストロフィーで遺伝子治療が成功、次は人間の番になる?
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より転載。

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ゲノム編集技術の「CRISPR」を利用して、犬の筋ジストロフィーを治療することに英米の研究チームが成功した。この技術を人間にも適用する可能性が期待されているが、まだ課題が残っているのだという。

10年ほど前の話になるが、英国で奇妙な遺伝形質をもったスパニエル種の犬の血統が見つかった。雄の子犬に限って、1歳になる前にさまざまな謎の病気を発症するのだ。子犬たちは体が弱く、自分の舌で窒息してしまうことがよくあった。 

研究により明らかになった原因は、X染色体のジストロフィン遺伝子異常だった。ロンドンの王立獣医大学(RVC)の研究グループは、子犬たちが筋肉細胞を構成するジストロフィンと呼ばれるタンパク質の生成に関わる遺伝子が欠損する遺伝性疾患をもっていること発見した。つまり、人間の子供と同じデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を発症していたのだ。

研究者たちはこの血統の犬をビーグル犬と掛け合わせて繁殖させ、DMDの研究を行ってきた。そしてついに、RVCとテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの合同チームが犬の遺伝子治療に成功した。

科学誌『Science』に発表された論文によると、同センターのエリック・オルセン率いるチームは「CRISPR」と呼ばれるゲノム編集技術を使って、DMDを発症している4匹のビーグル犬の遺伝子を修復した。CRISPRでは標的となるDNAの2本鎖を切断し、ゲノム配列の任意の場所を別の配列に入れ替える。

ジストロフィン発現に関係する遺伝子はゲノム配列のなかでも特に大きく、同じ病気を引き起こす可能性のある突然変異の種類も多いため、筋ジストロフィーの遺伝子治療にCRISPRを使うことは難しいとされる。しかし、オルセンはエクソン51の欠失を正確に狙う方法を発見した。DMDの原因のうち、エクソン51は約13パーセントを占める。

回復した子犬たち

オルソンは過去にマウスおよびヒトの心筋細胞で遺伝子の修正に成功している。RVCと協力した今回の研究では、筋細胞に感染しすい無害なウイルスにCRISPRの分子成分を運ぶような改変を施し、これを被験体となる生後4カ月のビーグル犬4匹に注射した。2匹は後肢への筋肉注射、残りの2匹は静脈注射を受けている。

8週間後、静脈注射の2匹のジストロフィン値は脚部で50パーセント、心臓部で90パーセント以上も改善した。なお、人間の筋ジストロフィー患者の場合、ジストロフィン値が15パーセント上昇すると症状は劇的によくなる。オルソンは「このレベルには間違いなく到達していたと言えます」と話している。

大型哺乳類の筋ジストロフィー治療にCRISPRが用いられたのは、今回が初めてだ。治療にあたってはアナフィラキシーや肝障害、免疫系の暴走といった最悪の事態が起こることも想定していたが、こういった反応は観察されなかった。そして、子犬たちは再び走り回れようになったのだ。

オルソンはサンプル数が少ないため論文には明記しなかったと前置きした上で、「子犬たちの行動にも明らかな変化が見られました。走り回ったりジャンプしたり、素晴らしい回復を見せたのです」と説明する。

生物医学の研究開発(R&D)においてNPO組織の重要性が増していることを示すデータがあり、特に従来型のモデルではプロジェクト初期段階の資金調達が難しいような場合に、この傾向が顕著だという。

医療研究における資金の流れを調査する「Research!America」のリポートによると、米国における医療・健康分野のR&D投資は年間1,000億ドル(約11兆3,000億円)に達している。このうち、慈善団体が支払った額は2016年には27億ドル(約3,050億円)に上り、地方政府などと合わせて全体の3.4パーセントを占めた。

CureDuchenneを率いるデブラ・ミラーはベンチャーフィランソロピーについて、「いずれは業界標準になると思います。寄付を本当に有効に活用しようとすれば、これしか方法がないからです」と話す。これまでの契約や保有株の売却などで13億ドル(約1,469億円)を手にしており、Exonicsを含むDMD治療の開発プロジェクトへの出資を続けている。

ミラーはCRISPRを用いたDMD治療に特化したスタートアップなら、大手企業より治験などを早く進められるだろうと考えている。遺伝子治療分野ではエディタス・メディシンやCrispr Therapeuticsといった企業がDMDへの適用の可能性を探っているが、いずれも研究段階で実用化には至っていない。治療に必要な分子成分を運ぶウイルスを、人間の全身の筋組織に行き渡るのに十分なだけ作り出すには、信じられないような費用がかかるからだ。

課題は山積み

Exonicsもいつかはこの問題に直面するだろうが、近い将来というわけではない。CRISPRを人間の筋ジストロフィー患者に試すためにクリアすべき課題は山積みだ。まずは今回の実験の長期的な経過を観察することが必要で、オルソンはこれについては、2019年中に完了するとの見方を示している。

この種の失敗が生じれば、研究そのものが10年も20年も後退してしまう可能性がある。遺伝子治療の世界で90年代後半に起きたのはまさにこうした事態だった。だからこそ、オルセンをはじめとする研究者たちは患者に対し、あまり楽観的にはならないでほしいと伝えるようにしている。

ただ、ゲノム編集とベンチャーフィランソロピーという組み合わせにより、さまざまな希少疾患の治療の研究がかつてない速さで進んでいることに変わりはない。

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古越拓哉

低脳化が進行中。

人類の第2次低脳化現象 (2) あなたも今リアルタイムで “低脳化” している?リンクから引用させていただきます。
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“第1次低脳化” が起きたのは、今から1万年ほど前のいわゆる農業革命のときである。“農耕生活”に移行して、安定した食糧生産が可能になり、“食べる心配”が大幅に減ったために、人間の脳は“仕事が減り”、縮小したのである。
(中略)
実は“人類の第2次低脳化”はほぼ西暦2000年を境に始まり、この今現在、リアルタイムで進行中である。
農業革命から約1万年経った21世紀に入って、インターネットという情報インフラネットワークが地球をおおった。さらに畳みかけるように携帯基地局のアンテナが爆発的に増え、スマホなどのモバイル通信のための電磁波圏が地球をおおった。

21世紀に入って、人工知能(AI)が本格的に人間を超え出した。産業用ロボットをはじめさまざまなロボットが登場している。“第1次低脳化” が必然ならば、この “第2次低脳化” も同じくらいに必然的かつ不可避なプロセスである。

それでは、“第2次低脳化” の原因は何なのか?
この原因は大きく3つに分けて考えられる。
1) 脳への負担の、コンピュータ・人工知能による劇的な低減
2) 言語思考からイメージ反応への移行による言語運用能力の低下
3) 電磁波による脳へのダメージの増大
(中略)
こうした事態は、われわれの社会環境における何かしらの急激な変化と関係があるのではなかろうか?そうした社会環境中の変化のなかでも 最も疑うべき電磁放射線の劇的な増大は、その変化があいにくまったく目に見えない。目に見えないためにまるでそんなものは存在しないかのように思われている。

特にテレビやスマホによって“イメージ反応” に慣らされた若者にとっては 「見えないものは存在しない」 に等しい。しかし、実はその「見えないもの」 こそが今日の人類の身体と頭脳に毎日絶え間なく損傷を与えている元凶なのだ。

iPhone のようなハイテクの最新鋭のモバイル端末を使い倒しながらも、使っている当人の頭脳は情けないことに電磁放射線によって、確実に機能不全をきたしているのだ。記憶力減退、頭痛、うつ病、不眠、集中力減退、思考力減退、思考混濁といった症状が、実はそのまま “人類の第2次低脳化” なのである。

しかし、人類がいくら低脳化しても、テクノロジーの進歩によって十分に埋め合わされるので、社会的には大きな支障は生じないであろう。逆に言うと、人類がテクノロジーにますます依存するようになるだけのことである。
(中略)
しかし、一部の人間は賢明にも、もうすでに電磁放射線に対して十分に防護した環境に暮らし、自分達のDNAを損傷から守りながら、健康な生活と明晰な頭脳を維持しているはずだ。人類史上初めてのグローバルかつ不可視の急激な災禍を理解し、回避できるのは “論理的思考” の可能なごく一部の人間だけである。“イメージ反応” に明け暮れ、「目に見えないもの」 をまったく無視する一般大衆は、このグローバルでリアルタイムの災禍に情け容赦なく呑まれていくであろう。自然淘汰の原理は今日の人間社会にも働いているのである。大勢に流されるまま “低脳層” に転落するか、目には見えない危機を客観的に見据えて対処するか で分かれるであろう。
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上前二郎

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